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【頒布終了】海で失くした人形・リメイク版(2014.11.03発行)

タイトル:海で失くした人形

サイズ:A5・二段組み・全56P
カップル:サガカノ
内容:R18シリアス
備考:聖戦後生き返り設定、敵がオリキャラでカノンと絡みあり

※2012.11.23に初めて発行した同タイトルの同人誌と同じものです。
本文以外に手を加え作り直したリメイク本なので既に持っている方はご注意ください。

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<詳細>
【あらすじ】聖域に再生したカノンは、教皇の選出に携わる男マノスに取引を持ち掛けられる。生きる目的を見失い、ただ兄の望む地位を与えたいと考えたカノンはマノスに身を委ねてしまうが、マノスの行為を通してサガを求める気持ちを募らせていった。

【目次】
1. 魂の極点
2. 業と再生
3. 輝きと汚染
4. 絶望の純熟
5. ペナンス
6. ターミナル
7. 海で失くした人形

【本文サンプル1】
1. 魂の極点

 真夜中の海を照らす灯台の光のような金色が、薄暗い大地を走り抜ける。その余りにも強い輝きに照らされた冥界の全ての存在が、己の影をより深くさせた。
 死んだ兄の聖衣を纏った双子座のカノンは、冥界に到着してから初めて目の前に立ち塞がった敵を認め、立ち止まる。煽るように垂れ流したままの小宇宙が、その反動できらきらと舞い上がった。
「冥闘士か」と問い掛けるその声は凛々しく、自信に満ちている。その英姿はさながら彼の兄であるサガのようで、とても双子座を継いだばかりとは思えない堂々たるものだった。声以上にそれを濃く滲ませた強い視線の先には、濃紫色の鎧を纏った背の低い、蝦蟇蛙のような風貌の男が眩しそうに顔を歪ませていた。
「その金ピカの鎧、何とかならないのか。鬱陶しくてかなわん」
 黄金聖衣を見ながら不満そうに男が吐き捨てたのを聞き、発する声まで蛙のようだと思いながらカノンは眉を顰めた。
「俺も今日まではそう思っていたが、自分が身に着けると慣れてしまうものだな」
「ほう、新米の黄金聖闘士か。前の持ち主は死んだのか?」
 男は眉を上げ、さも愉快そうに問い掛ける。それを聞いたカノンの指先がぴくりと動いた。カノンが男をすぐに殺さなかったのは、兄という人間を知らない者が存在していることが許せなかったからかもしれない。
「俺の双子の兄だ。誰よりも強くて勇敢な真の聖闘士だった」
「ほう、誰よりも強くて勇敢なのに死んだのか?」
 男は意地悪く念を押して嘲笑う。カノンは咄嗟に何かを言い返そうとしたが、言葉は出てこなかった。二人の間を乾いた風が通り過ぎた頃、カノンは諦めたように別の言葉を口にした。
「お前と問答している暇はなかった。道を開けるか、さもなくば今すぐ俺に殺されるか、どちらか選べ」
「ふむ……初めはお前と戦ってやっても良いと思ったが、嫌になった」
「なに」
「その小宇宙、まるで死地を求めて彷徨っているようではないか。お前のような美しい者が死にたいほどに絶望しているなら喜んで殺してやろうと思ったが、それとは違う……お前は死ぬことが希望だとでも思っているようだな」
「聖闘士はアテナのために戦って死ぬものだ」
「兄のように……か、なるほどな。お前は死んで兄のそばへ行きたいのだな」
 一瞬、カノンの胸に不快な痛みが走った。ただ、それを表情に出すことは一切せず、努めて平静を装う。男は更に言葉を続けた。
「図星か? どうせそうやって死んだ兄の人生の続きを演じ、できるだけ多くの敵を倒して死ねば兄に認めてもらえるとでも思っているのだろうな」
「やめろ!」
 カノンはついに感情が抑えきれなくなり、声を荒げて男の言葉を遮った。死を覚悟して進むと決めた道も、改めて他人に口にされると酷く陳腐に聞こえる。何よりこんな男といつまでも兄の話をしたくはなかった。サガだったら、こんな場所で足を止めたりしていないだろう。
 焦燥感をごまかすようにぐっと拳を握り戦いの体勢を取ったカノンを、男は冷めた視線でじっと見た。
「お前は本当に美しい。しかし今のお前に俺の命を懸けるのは勿体ない。お前のつまらぬ希望を叶える手伝いなどする気はない、他の奴を選ぶんだな。俺は絶望の方が好物なんでね」
 言い終わると同時に、男は冥界の闇に融けた。敵を取り逃がした悔しさよりも、耳に残った男の言葉がカノンの心を掻き乱した。
 正直に言えば、死に場所を探しているのは間違いではなかった。聖戦で生き残れるとは少しも思っていないし、むしろ生き残ってしまうようなことがあっては困るのだ。ここへ来るまでの間に起こった沢山の悲しい出来事、そして目まぐるしい展開について、カノンはまだ心の整理ができていなかった。立ち止まると色々な想いが浮かんでは消え、足が重くなる。憂いを帯びた表情で目を伏せたカノンだったが、やがて息を一つ吐くと再び前を見据え、力強い一歩を踏み出した。
 兄の代わりに聖衣を纏い、兄を想いながらアテナのために戦って死ぬ。今はこれ以上の幸せはないように思えた。双子座を継ぐことなどこれまで生きてきて一度も望んだことはなかったが、サガがいなくなった今、双子座のカノンではなく、双子座のサガ、その代わりでありたいと望んだだけのことだった。サガが生きているように振る舞えば、前へ進む力が生まれ、胸の痛みが消えていく。その感覚だけを頼りに、カノンは自分に残された命を燃やし尽くそうとしていた。
 薄暗い冥界を再び走り始めたカノンは、既に先程の男との遣り取りを忘れ、その後二度と思い出すことはなかった。

【本文サンプル2】ネタばれあり
「何す……!」
 カノンは何かを言おうとしたが、その瞬間視界がぐにゃりと歪み、サガの力で周囲が一瞬にして異次元に変わったのを知る。
 押し潰されるように重い、とても嫌な感覚だった。既にそこにはアイオロスもマノスもいなかった。攻撃的な小宇宙に満ちたその異次元は、同じようにそれを操るのに長けているカノンでさえなかなか体の自由がきかないほどに強力なものだった。サガは聖衣を纏っているがカノンは生身の状態だったのもあり、現時点での力の差は歴然としている。
 体の重さを支えようと踏ん張るカノンの胸倉を掴んだサガは、無表情のまま思い切り地面に叩き付け馬乗りになった。
「っぐ……っ!」
 仰向けに倒れたカノンは衝撃に短く呻き、上から見下しているサガの顔を睨んだ。
「カノン、お前はそんなに男が欲しいのか」
 そう言われたカノンは思わず違う、と言い掛けて言葉を飲み込んだ。そういう話で済むならそれでいい。とにかく早く終わらせたかった。
「だったら何だって言うんだ」
「あんな汚い男で満足するとは、酷い趣味だな。いつ男を覚えた? 今までどんな男と関係を持った」
 淡々と問うサガの表情は冷酷だった。カノンは神のような兄にこんな表情をさせ、こんな台詞を言わせている自分を激しく嫌悪し、悲しくて一刻も早く消えてしまいたいと願う。
「関係ないだろ、好きにさせろよ」
 それでも強気を振る舞い、サガを睨みつけながら吐き捨てた。それを聞いたサガの眉間が一瞬ぐっと歪むが、すぐにまた元の冷たい表情に戻り、嘲るような笑みが口元に浮かんだ。
「では俺も好きにさせてもらおう。あんな蛙のような男より感じさせてやる」
 サガはそう言ってカノンに噛み付くように口付けた。殴られるか、殺されるかと思っていたカノンにとってそれは余りにも予想外のことで、一瞬何が起きたのか理解ができなかった。
「……っ、なっ、やめ、嫌だ、っ……やめろ、サガ…っ!」
 カノンは必死で拒絶する。絶対に嫌だった。マノスに貪られた唇、汚れきったそれにサガが触れることなどあってはならない。何度も何度も心の中で求めたサガの唇を感じる余裕など全くないほど無我夢中で抗い、何とかしてサガから逃れようとした。
(4. 絶望の純熟 より一部抜粋)

お知らせ(3/10更新)

◆自家通販は現在行っておりません。
◆次回のイベント参加予定は2019年2月10日(日)開催予定の「GALAXYμ」(大阪)です。
◆2013年に寄稿した『雨のおと、魂のこえ』という短編を全文公開しました。オフラインから見ることができます。

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◆R18部分は簡単なパス制です。

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書いている人

名前:みなみ椿
サークル名:Spiral
地域:東海圏

・ライブラA型
・カプ固定(サガカノ・LCアスデフ)
・字以外は左利き

同人活動は2010年06月から開始。
オフ活動は2012年11月から開始。

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